今回は、ビル・パーキンス氏の著書『DIE WITH ZERO(ダイ・ウィズ・ゼロ)』を紹介します。
「いつ死ぬかわからないのだから、今を楽しみつつも老後のこともしっかり考えるべき」という考えの答えがこの本に書かれていました。
最初に出てくるのは、誰もが知っている「アリとキリギリス」の寓話です。アリは冬に備えてせっせと働き、キリギリスは自由に遊び続け、結果として冬に生き延びるのはアリだけという話。しかし、本書ではこの寓話に対してアリは「いつ遊ぶべきか?」という疑問を投げかけています。

この本の核心は、「お金を貯めること自体が目的ではなく、人生の経験や思い出を最大化することが重要である」という点です。特に、次の3つのエピソードが印象的でした。
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール [ ビル・パーキンス ]喜びを先送りにしてはいけない
本書では、人生の喜びを「老後のために」先送りすることの危険性について語られています。ある弁護士夫婦の話が例として挙げられています。
ジョンとエリンは3人の子どもに恵まれ、幸せな日々を過ごしていました。しかし、ジョンががんを患い、病状が急速に悪化していきます。著者はエリンに対し、「仕事を休んでジョンと過ごす時間を作るべきだ」と助言しました。エリンはその言葉を受け、すぐに会社を辞め、ジョンと一緒に過ごすことを選びました。
二人は公園に行き、映画を観て、テレビゲームをして、子どもたちの送迎をするなど、かけがえのない時間を過ごしました。しかし、ジョンはわずか3カ月後にこの世を去ってしまいます。

エリンは深い悲しみに包まれましたが、それでも「仕事を辞めて、ジョンと過ごす時間を持てたことは良かった」と語っています。この話は、私たちに「いつ死ぬかわからないのだから、やりたいことを我慢しすぎるべきではない」という教訓を与えてくれます。
人生で一番大切なのは思い出作り
人間は、死の間際にお金を使うことはできません。『DIE WITH ZERO』のタイトルが示す通り、「死ぬときに貯金がゼロになっていることが理想である」という考え方が本書の軸になっています。
著者の父親は晩年、体が思うように動かせなくなりました。そこで著者は、父の過去の思い出をデジタル化し、iPadにまとめてプレゼントしました。父親は、若かりし頃のフットボール選手としての映像を見て、懐かしさに涙し、時には笑いながらその時間を楽しみました。
このエピソードが示すのは、「人生の価値は思い出の豊かさによって決まる」ということです。お金を貯めることが目的になってしまい、経験をおろそかにすると、最終的に後悔する可能性が高くなります。

ただし、これは「とにかく浪費しろ」という話ではありません。著者は「経験に投資すべきだ」と述べています。例えば、若いうちにしか行けない海外旅行や、新しい知識を学ぶためのセミナーなど、「お金をかけなければ体験できないこと」に積極的に使うべきなのです。
お金を稼ぐことだけに費やした年月は二度と帰ってこない
本書の中で特に衝撃的だったのは、ある億万長者のエピソードです。
ジョンという友人は、ヘッジファンドを立ち上げ、莫大な財産を築きました。彼は「1500万ドル稼いだら仕事を辞める」と決めていましたが、目標を達成しても働き続け、次第に目標額は2500万ドル、1億ドルと膨れ上がっていきました。
彼は働くことでますますお金を稼ぎましたが、自由な時間はどんどん減っていきました。そして38歳でついに引退したとき、資産は40億ドルに達していました。しかし、彼は気づきました。「もっと早く引退すればよかった」と。
彼の30代は仕事に費やされ、戻ることはありません。子どもが赤ちゃんに戻ることもなく、豪邸や高級品を手に入れたとしても、それが幸せの本質ではなかったのです。

ジョンがこのような結果になったのは、単に働くことが好きだったからではなく、「働くことが習慣になってしまっていた」からでした。社会的な報酬としてお金を得られることで、働くことが中毒になっていたのです。
まとめ
本書から学んだ大切なポイントは次の3つです。
- 喜びを先送りにしてはいけない
- 人生で一番大切なのは思い出作り
- お金を稼ぐことだけに費やした年月は二度と帰ってこない
私たちはつい、老後のために今を犠牲にしがちですが、本当にそれで良いのでしょうか? もちろん無計画な浪費は良くありません。しかし、今この瞬間を楽しみながら、将来のことも考えるバランスが大切です。
この本を読んで、あなたはどう思いましたか? ぜひコメントで意見を聞かせてください!
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